『SIGMA 65mm F2 DG DN』(Eマウント)を2024年6月に購入し1年が経ちました。
家族とのお出かけや野鳥撮影のお供など、日常的にかなりの頻度で持ち出し使ってきましたので、自分なりの『SIGMA 65mm F2 DG DN』レビューを書いてみます。

なお、私はプロカメラマンなどではなく、個人でカメラ、写真を楽しんでいるカメラ趣味マンです。なので当然自分で購入しており、忖度なしのレビューとなっています。
私にとってレンズは高価なものなので簡単に買えるはずもなく、購入前に情報をできる限り集め、悩みに悩んでやっと購入する感じです。
なのでほとんどの場合想像どうり気に入ることが多いのですが、『SIGMA 65mm F2 DG DN』は期待通りどころかそれを超えてくるとても素晴らしいレンズでした。

なおカメラ趣味マンによる完全な個人の感想ですので「あ〜、こいつはこう思ったのね」程度に、やさしい気持ちで読んでもらえると幸いでございます。
圧倒的な金属感、美しいデザイン

私は今までCanon、FUJIFILM、SONYのカメラを使ってきました。各マウントに合わせてレンズを揃える必要があるので一般人としてはまあまあいろんなレンズを使ってきたつもりです。
趣味でカメラを楽しむ場合、いいレンズ悪いレンズは人それぞれであり一概に語ることはできません。
しかし『SIGMA 65mm F2 DG DN』を手にして1つだけ確実に言えることは『圧倒的に金属感を感じることができるレンズ』であると言うことです。
「このレンズは金属かな?プラかな?」なんて考える必要は全くありません。触れた瞬間もう金属。初心者だろうと子供だろうとそんなことは関係なく金属であることがわかると思います。
「金属だからなんなんだ」
当然そうおっしゃる方もいるでしょう。まさにその通りなんですが、金属独特のひんやりとした感触、鏡筒の金属が少し厚めなのか心地よい重量感と塊のような剛性感。触れた瞬間今までと違う何か特別なレンズであることを感じることができます。

さらに『SIGMA 65mm F2 DG DN』を含むSIGMA Iシリーズの魅力はその美しいデザイン。金属素材に塗装されたマットブラックが高級感を感じさせ、フォーカスリング、絞りリングのバランスが絶妙。
白のみで刻まれたメモリや数字などにシンプルで無駄のない美しさを感じます。
ここ最近のSIGMAのデザインは本当に美しいですね。

ちなみにSIGMAはビジュアルアイデンティティーを刷新しており、私が購入した当時のものとはメーカーロゴやフォントが変更されています。
いろんな意見があると思いますが私は当時のフォント、好きだったんだけどな・・・。
触ってるだけで幸せになれそうな心地いい操作感
『SIGMA 65mm F2 DG DN』は操作感も抜群です。

フォーカスリングは非常に滑らか。当然ですががたつきや引っ掛かりなどは全くありません。特質なのはその回し心地。普段使っているSONYのレンズのフォーカスリングは良く言えば軽く、悪く言えばスカスカな感触です。
一方『SIGMA 65mm F2 DG DN』はしっとり感がすごいんです。上質なグリースが塗ってあるかのような(塗ってあるかどうかは知らない)滑らかでしっとりとした回し心地が最高です。

さらにフォーカスリングの下にある絞りリングを回した時の感触がこれまた絶品。メモリを刻むたびに心地よいはっきりとしたクリック感を味わうことができます。で、そのクリック感が良い意味で金属鏡筒に響く感じがあってそれもまた良いんですよ。
その感じが最小F値のF2から最大F値であるF22まで澱みなく続くのですがこれで終わりではありません。

最後のF22からAの間隔は少し長いのですが、F2からF22まで細かいピッチで刻み続けたあとここだけ間隔が長くなることで、一瞬なんかこうフワッと浮き上がるような気持ちよさがあります。
私はここに無重力を感じました。

『SIGMA 65mm F2 DG DN』にはAF、MF切り替えスイッチがあるのですが、なんとこのスライド感までも心地いいんです。
スイッチには勝手に切り替わることのないようなある程度の固さがあります。
そしてスライドした瞬間次の場所にスッと収まる感じで、キレがあって気持ちいいんですよね。ガタつきも全くありません。あと切り替えた時の音が割と大きめなんですが、これもね、いい音なんですよ。
とまあ3箇所ある操作部の3箇所とも素晴らしい出来です。かなりこだわって丁寧に開発されたレンズであることがよくわかります。レンズに対する愛を感じますね。
仕事で疲れたりストレスが溜まったりした夜は、お酒でも飲みながらこのレンズを眺めたり触ったりすることで気分が少し軽くなるような気がします。
解像度が高く描写も良い

SIGMAのレンズの中で最高の描写性能を目指して設計されたものは『Art』というカテゴリに分類されるレンズなのですが、『SIGMA 65mm F2 DG DN』は『Contemporary』というカテゴリに属するレンズです。
なので購入時には描写力に少し不安を持っていました。
このレンズは発売されてから4年以上経過していますのですでにプロアマ問わずたくさんの先輩方からレビューされ尽くしているのですが、描写に関してはやはり色々な意見がありました。拝見した中では良いという意見が多かったかな。
ここからは私が実際に『SIGMA 65mm F2 DG DN』を使ってみて感じた率直な感想です。
最短撮影距離ではあまいが少し引くと驚くほど改善する
まずは誤解を生みやすい点から行きましょう。人によっては購入候補から外れる可能性もある部分です。
『SIGMA 65mm F2 DG DN』の最短撮影距離は0.55mmなのですが、開放F値であるF2ではギリギリまで寄ると描写は少しぼんやりしてあまさを感じます。中央部はまあそこそこなのですが、四隅にいくほどさらに緩くなります。F値を絞るとある程度改善しますがそれでもあまさは残ると感じています。

最短撮影距離あたりで撮影

私が所有している『FE40mm F2.5G』や『FE 35mm F1.4GM』はF値開放最短撮影距離からかなりシャープに解像するので比較するとこの点は大きな違いです。
スマホで見る分にはそれほどわからないかもしれませんがPCのモニターで見るとわかります。
ただこの点に関しては同じIシリーズの35mmか50mmだったかな?SIGMA公式のライブで大曽根部長だったか山木社長だったか忘れましたが正直に言及されてました。
最短撮影距離近辺では描写が少しあまくなるのでチャートや新聞紙などのテストではあまり良い評価がでない可能性があるらしいです。この傾向は『SIGMA 65mm F2 DG DN』でも同じだと思っています。
しかしこの部分はコストを抑えながら美しいボケ感と解像力を両立させるためには妥協せざるをえない点らしく、実際に撮影する場合にはそれほど気にならないことが多いともおっしゃっていたような記憶があります。
これは決して言い訳などではなく、実際に使っていて感じることです。
ちょっと引いてとる、一歩下がってとることで驚くほど改善し、SONYのGレンズやGMレンズと比較しても見劣りしない非常にシャープな描写となります。
ボケに関して私はどのレンズでも正直に言って人に語るほどのこだわりがないのですが、少なくとも汚いボケと感じたことはありません。綺麗だなと思って使っています。(安い単焦点レンズの中には汚いと感じたレンズも過去にはありました)
あまりいないかもしれませんが最短撮影距離での使用を前提にこのレンズを検討している方には、個人的にはおすすめできないということになります。
それ以外では素晴らしい描写なので65mmの焦点距離が気になっている方にはおすすめです。
色味は少しアンバー気味


『SIGMA 65mm F2 DG DN』はSONYの『FE40mm F2.5 G』や『FE35mm F1.4 GM』と撮り比べると少しアンバー寄りな感じがします。
SIGMAの方が若干黄色寄りで暖かく雰囲気がある感じで、SONYの方が青寄りでスッキリとクリアな感じ。
私は今までSONYのクリアな感じが好きだったのですが、使ってみるとSIGMAの暖かい感じもいいですね。
しかし撮り比べるとわかるだけであって単体で使う分にはそれほど気にならない程度です。
ホワイトバランスを調整することでそれぞれに近づけることができると思います。
AFは純正と同じくらい速いが気になる点も・・・

『SIGMA 65mm F2 DG DN』を購入するときに一番心配だったのがAF性能だったのですがSONYのレンズと比較しても違いを感じないほど速く正確です。私の使用用途では特に不満はありません。
ただ一つ気になる点として絞りをF8などに絞ってAF-Sでピントを合わせた時に一瞬ブラックアウトしたように画面全体が暗くなります。
初めて絞って撮影したときには何か不具合が起こったのかと驚きました。
後から手持ちのSONY純正レンズと、F8に絞って撮り比べてみたのですが純正レンズも画面の端の部分は一瞬暗くなるものの画面全体がブラックアウトしたように暗くなることはありませんでした。
これは何が原因なのかはわかりません。
私はカメラの設定を自分が使いやすいように変更しているのでそのせいかもしれないし、私の手元にある個体だけかもしれません。
もしかしたら焦点距離の問題かもしれませんが望遠レンズを使って絞っても違和感を感じたことがないんだよなぁ・・。
まぁ、そういうもんだと捉えると特に大きな問題ではないし、AF-Cではこの現象は出ませんので私はもう慣れました。
『SIGMA 65mm F2 DG DN』で撮った作例
ここからは『SIGMA 65mm F2 DG DN』を使って撮った写真を貼っていきます。
このブログで載せることができる最高画質には設定していますが元画像より解像感は劣ります。
カメラの設定を写真のキャプションに載せますので、まあ雰囲気とか、色味とか、少しでも参考になれば幸いです。
ほぼJPEG撮って出しですが、一部現像した写真もあります。


















作例は以上です。
『SIGMA 65mm F2 DG DN』を手にしてカメラ趣味を想う

私が『SIGMA 65mm F2 DG DN』を使っていて感じるのは「とても趣味性が高いレンズだなぁ」ということです。
やはりこのレンズの最大の魅力はデザインや質感でしょう。この部分に魅力を感じない方は他にいくらでも選択肢はあると思います。
カメラやレンズはあくまでも写真を撮るための道具であり、撮った写真が全て、道具なんてなんだっていいという方はあえてこのレンズを選ぶ意味はないでしょう。
私ももし仕事であれば必要に応じてもっと明るいレンズやズームレンズなどを選択すると思います。
しかし私は趣味でカメラや写真を楽しんでいます。
あくまで趣味ですので写真を撮らなくてもいいし、カメラやレンズをわざわざ高いお金を出して買う必要はないんです。
でも買うんですよ。好きだから。
写真も撮るんですよ。好きなカメラやレンズで写真を撮るのが最高に楽しいから。
だからカメラやレンズはなんだっていいという訳にはいかないんですよね。それじゃ楽しくないし幸せは感じられない。
最近強く考えるのは、カメラ趣味において正解はないということです。
今までプロカメラマンやインフルエンサーなどの動画や読み物などをバカみたいにたくさん見てきましたが、参考になることも多いがそれが全てではないということを感じています。プロであれば機材の正解が求められることもあるでしょう。ですが趣味は違います。人それぞれです。
正解が無い分、ある意味趣味の機材選びはよりシビアですよ。
普段は仕事を頑張っていて休日しか写真を撮りに行けない方も多いでしょう。休日も忙しくて限られた時間しか動けない方も多いかと思います。私もそんな一人です。
空いた時間に眺めたり触ったりすることでちょっとした幸せを感ることができ、少しの間でも悩みや不安を忘れることができる。そんなことも趣味カメラにおいてカメラやレンズが与えてくれる大きな役割だと私は思います。
『SIGMA 65mm F2 DG DN』はそんな私のお気に入りのレンズの一つになりました。
『SIGMA 65mm F2 DG DN』やSIGMA Iシリーズが気になっている方はいきなりポチらずに、できれば一度カメラ量販店などで実機を見て、そして触れてください。
その時感じた感覚が全てであり正解だと思います。

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